家族の存在

実家の最寄駅から歩いて30分。

ようやく実家に到着したものの、いつものように鍵は開いていながら中には誰もいませんでした。

夕暮れの茶の間、しばらく炬燵にあたりながら庭の柿木を眺めていると、勢いよく玄関の開く音が聞こえました。

「あ、ママだー!お寿司買ってきたから一緒に食べよう!」

何も知らず私に駆け寄る娘達。

「わざわざ迎えに来なくても良かったのに。」と、母。

こんな状況下、一つ屋根の下で夫と二人きりなんて無理な話である。

両親と娘達で食べたお寿司、考えてみると昨日の朝食以来の食事でした。

お寿司よりもそこにいる娘達の笑顔が何よりのご馳走で、その時ほど家族の存在を有難いと感じたことはありませんでした。

その晩、両親には何も打ち明けず床に就き、翌朝、私達は電車で自宅に帰りました。

夜、夫が帰宅すると、着替える間もなく私と夫は車に乗り込み、近所の公園の脇に駐車した車内で話し会いました。

そこでは、私の知らなかった夫の浮気の実態を、初めて聞かされたのです。

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