”主婦”と呼ばれて

結婚休暇を終え、いよいよ明日から職場復帰となった前夜、上司から自宅に電話が入りました。

休暇中に秋の人事異動が発表され、部長が隣の部署へ移動になったとの事でした。

ついては明日の夜、送別会を行うことになったので私の参加について夫に許可を取るための連絡でした。

そうか、もう独身じゃないんだなと思いつつも、上司がわざわざ夫になんか許可を取らないでという複雑な気持ちでした。

翌朝、いつものように出勤し一時間ものオフィス掃除を終えた私は、披露宴に出席して下さった上司へそっとお礼の挨拶をしました。

その夜の送別会においても出席者の間で披露宴の話題で盛り上がりましたが、離れた席にいたお局からの激しい視線を感じていました。

そしてその翌日から私を退職へと追い込むお局へと豹変したのです。

私が給湯室で片づけをしていると、背後からお局が言うのです。

「ね~え、主婦はまだ仕事続けるの?家事をしなければならないってことは残業も出来ないし、それって会社に甘えることになるんじゃないの?」

そう、その日からお局は私を”主婦”と呼ぶようになり、会議で発言しようものなら「主婦は黙ってて!そのうち赤ちゃん出来るんでしょ?」と僻みとしか思えないようなことを露骨に言うようになりました。

耐えきれず、私は「会社を辞めるか辞めないかは自分で決めますので、どうぞご心配なく」と言ってしまったのです。

今と違って当時の社内では、女性社員は結婚したら退職することが暗黙のルールとなっていましたが、その時の私には”退職”とはこのお局に負ける事としか思えず、一方では今すぐにでも退職届でこの女の顔を張り倒してやりたいという気持ちもありました。

同期入社で半年前に結婚退職し「毎日が夢のように幸せ、今夜の晩御飯にかぼちゃの煮つけを作ったの」と、のろける友人もいれば、私のように会社でも自宅でもストレスを溜めながら、幸せとは無縁の新婚生活を送る女もいる。

いったいどこでどう間違えてこうなってしまったのだろう?

女の幸せっていったい何だろう・・・?

私の新婚時代は常に暗闇の中でもがき苦しんでたのです。

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