少子化が叫ばれる昨今、生涯子どもを持たないという選択肢も当然の権利としてあるようです。
それは経済的な不安や生き方の多様化も理由の一つとしてあることは否定できない現実です。
バブルがはじけた平成の初め頃はまだそのような不安はあまり現実的に感じることはなかったと思います。
そんな私も結婚したら親になるということが自然なことであり、親孝行もしくは一族の嫁として、さらには社会の一員として子どもを持たない選択肢など思いつきもしませんでした。
どうせ産むなら早い方が良いし30歳までには必ず社会復帰してやるという思いで、半ば義務として妊娠、披露宴から3カ月後、決して円満とは言えない形での退職、そして専業主婦になったのです。
せっかく宿った命を第一に考え、その様な決断を下したことには全く後悔はありませんでした。
当然の事ながら夫に養われる立場となり、この日から夫婦間での上下関係が確立されました。
とにかく夫を支えることを最優先に考え、家事を疎かにすることは許されませんでした。
妊娠発覚から約3カ月間、激しい悪阻におそわれながらもお弁当作りや食事の支度を欠かすことなく行いました。
検診のための通院も、義母の一族が古くからの付き合いのある病院まで電車に乗り一時間かけて通院しました。
病院の主治医からは「ここではもう分娩はやっていないし、出産後の事を考えたら近くの病院に通った方が良い」と言われました。
義母に相談したところ、「そんなことしたら付き合いが絶たれてしまうでしょ!」と許可は得られませんでした。
一族の付き合いの為に何で私が大変な思いをしなければならないのか、それも嫁としての務めとして諦めるしかありませんでした。
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