血染めのワイシャツ

出産を2カ月後に控えたある夜、会社の送別会で夜11時を過ぎても帰宅しない夫から電話が入りました。

「大変なことになった・・・・」と言いながらオイオイと泣いているのです。

事情を聴くと、飲み会の席で些細なことから部下をビール瓶で殴ったとのこと。

部下に対して指の神経を切断するといった大怪我を負わせてしまい、今は運ばれた病院にいるとのことでした。

数時間後、帰宅した夫のYシャツは被害者のものと思われる血で真っ赤に染まっていました。

そのシャツを見て改めて事の重大さに驚かされましたが、それ以上に驚いたのは私に言った夫の最初の言葉です。

「おふくろには言わないでね・・・それとこのシャツ、明日クリーニングに出しておいてね」

・・・呆れました。

自分がどういう事をしたのか全くわかっていないのです。

翌日、上司と共に病院へお見舞いに行き、被害にあわれた部下のお母様にお詫びしたそうです。

幸い警察沙汰にはなりませんでしたが、もうすぐ父親になる人間のすることではないと思いました。

因みに周囲の目が気になるのか、この日から夫はお弁当を持って行かなくなりました。

当時、DVというものを知らなかった私には、夫の事を”弱いものいじめをする小さな人間”としか思えませんでした。

DVの加害者に見られる上下関係による「支配」と「暴力」は、夫婦のみならず自分を取り巻く人間にも及ぶようです。

知れば知るほど奥の深い問題であることに改めて考えさせられている今日この頃です。

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