さよならマイホーム

私にとって30歳の誕生日は、結婚生活の後半戦の始まりでもありました。
その翌月、夫の転勤が決まりました。
転勤先は自宅から電車で一時間程の郊外で、夫の勤務する業界の登竜門と呼ばれる町でした。
バブル経済の崩壊後に閉鎖となった店舗を再出店することになり、夫はその支店長として準備段階から携わることとなったのです。
すっかり天狗になった夫は、社内において自分が”史上最年少支店長”であることを誇示していました。
一方、新しい勤務先までの通勤時間と地域密着型の店舗方針を考慮し、私たちは引っ越しを余儀なくされたのです。
当時、長女は小学2年生、二女は小学校に入学したばかり。
見知らぬ土地へ移り住むことへの不安もありましたが、家族はいつも一緒にいるべきとの思いから引っ越すことを決意し、、購入して5年も住むことはありませんでしたが、楽しい思い出や辛い思い出がたくさん詰まったマイホームを後にしたのです。
新天地での幸せな人生がおとずれることを祈りながら。