丁稚奉公

夫と義母の本性が現れ始めたのはそれからすぐのことでした。
それは田舎から奉公に来た娘を嫁としてもらってあげるような感覚とでもいうのでしょうか、まず私を呼ぶ際は名前の呼び捨てです。
毎週木曜日は義母が自分の実家へ泊まりに行く日なので、その日は「お興し入れ」と称して嫁ぎ先の家の事を勉強させる意味で私にすべての家事をさせるのです。
ある水曜日の夜、当時私が住んでいた会社の独身寮に義母から電話が入りました。
「明日はゴミ捨てとネコちゃんの缶詰24個入り一箱を坂の上にある○○動物病院まで取りに行って、その足で○○クリーニング店へ行って出しておいたワイシャツを受け取ってちょうだい・・・・」と。
義母は下町の老舗Kの長女として生まれ、○○女学院を卒業した後に数々の習いごとを積み重ね、時には(名前は忘れましたが)当時のある女優さんと身体のサイズが同じであったので、代わりにモデルとなって衣装の採寸をしたと自慢しており、幼い頃から家には数人のメイドがいる生活を送っていたそうです。
と、ここまで聞くと私がどれだけすごい家に嫁ぐのかとお思いになるのではないでしょうか?
私が初めて夫の実家へ行った時の衝撃といったら、それはそれは信じがたい光景でした。