夢のマイホーム

夫と寝床が別になったことがきっかけで、1LDKのマンションに家族4人が住むには少々手狭となり、そろそろマイホームを持とうかという話が持ちあがりました。
そこで生粋の江戸っ子と称する夫は、”県民”となることに抵抗があるという(私にとってはどうでもよい)理由で、都内の物件を中心に探しました。
これから成長する子供の事を考えると、郊外の広いマンションのほうが良いのではという私の考えなど全く聞き入れてもらえませんでした。
そう、夫にとってマイホームとは「投資」だったのです。
結果、東京駅から半径10キロ圏内にある下町の3LDK(58㎡)のマンションに決まり、その一年後、新しい住まいへの引っ越しの日を迎えることとなりました。
1LDKの部屋から運び出された荷物は2トントラック1台でまかなえてしまう程、我が家には物がありませんでした。
転居先で荷物の積み下ろしを終えそれらを収納していると、早速近所に住む私の友人が挨拶に訪れました。
すると暫らく玄関先で話していた私達に部屋の奥から「おい!いい加減にしろ!」と夫が叫び、直ぐに友人は帰ってしまいました。
確かに引っ越し当日で忙しいのはわかっているのですが、これからご近所付き合いが始まる私の友人にその態度はどうなんだろうと思いました。
そんなことがありながらも、何とか引っ越し作業は終了しました。
これから新しいマイホームでの生活が始まるにあたり、ローンに加え様々な経費を考えると、毎月多額の出費が予想され、今更ながら生活できるのか不安になりました。
しかし、後にそのような無謀とも思える夫の計画の根拠が明らかとなったのです。