愛人M親子との話合い

その翌日、話し合いをドタキャンした愛人Mから夫に「今度の日曜日、会ってお詫びしたい」との申し出があり、私達夫婦と愛人M親子で話し合いをすることになりました。
日曜日の午前10時、待ち合わせ場所であるお互いの中間駅の改札前に立っていたのは愛人Mでした。
身長163㎝程度、細身で弱々しい体型、4ヶ月程前に縮毛強制をしたと思われる黒のロングヘア、夫が最近買ったコートとお揃いと思われるトレンチコートを来ていました。
女優に例えると清水美砂と綾瀬はるかを2で割ったような、夫好みの顔でした。
しかし、よく見ると顔はほくろだらけで、左右の書き方が全く違ったへなちょこ一本眉毛の垢ぬけない女性でした。
夫の姿を見るなりペコっと頭を下げたので、本人だとすぐにわかりました。
私に何か話しているようでしたが、その声は雑踏にかき消され全く聞こえませんでした。
本来ならこの場で痛恨の往復ビンタを喰らわせたいところ、今後の話し合いにおいてそれがマイナス要因になることを考え、必死に堪えました。
直後、近づいてきた60歳代の小柄な男性に気付き、それが先日の電話で私を罵倒した父親であることはすぐにわかりました。
昨晩一体何を食べたのか、強烈な二ンニク臭を発しながら「ここでは何なので」と、私達を近くのスーパーの中にある喫茶店に誘導し、そこでの話し合いとなりました。
開店直後の喫茶店、まだ客は私達だけで店内の奥の丸テーブルに通されました。
私の真向かいに座った愛人Mはうつむき、それをじっと見つめる私を心配そうに横目でちらちらと見る夫。
何ともベタな設定の中、話し合いは始まったのです。