絶 望

翌朝、いつものように夫を駅に送り、淡々と家事をこなしていました。
愛人Mとの面会に備え身仕度を整え終わった頃、自宅の電話が鳴りました。
夫からでした。
「今、愛人Mさんの父親から電話が来て、話は全て聞いた。今日、彼女はそっちには行かない。本当にすまん。」
”本当にすまん”
夫の口からこの絶望的な言葉を聞いた瞬間、これまで張りつめていたものがプチっと切れて、悲鳴と共に一気に涙が溢れました。
そんな自分の姿は想像すらしていませんでした。
同時に、心の奥底では最後まで夫の事を信じていたこと、夫に裏切られた妻の気持ちがこんなにも痛くて辛いものかということを初めて知りました。
「ふざけるなー!!」
そう叫んで電話を切った私は、すぐさま愛人Mの自宅に電話を掛けました。
しかし、そこでは愛人Mの父親との更に激しいバトルが待ち受けていたのです。