育児拒否の口実

朝から晩まで24時間年中無休の育児生活が始まりました。
家事をしながら3時間おきの授乳とおむつ交換、昼夜問わず泣かれ心身ともにボロボロでした。
当然の事ながら、子どものいない生活から比べると、はるかに私の負担が増えるわけで、これまで通りとはいかないものです。
ある日、夫の洗濯物をタンスに収納していないことがありました。
それを見た夫から「何で入れておかないんだ!」と注意され、「そのくらい自分でやってもいいんじゃない?」と反論したところ、授乳中の私の背後から後頭部を思いっきり蹴られました。
私の外出の間子どもの面倒を頼んだのですが、帰宅すると泣き叫ぶ子の横で夫は寝ていたのです。
このように父親になっても何の協力もしない夫でしたが、それでも帰宅すると何故かホットしました。
それほど私にとって育児とは孤独なものだったのでしょうね。
しかし、夫は何を思ったのか今度は副業に目覚めてしまったのです。
90年代初めに話題となったマルチ商法の会員となり、連日のようにその活動に勤しむようになったのです。
「消費者革命!」と称して、数十万円もするFAXや浄水器などを購入すると、やがて自分の懐に勝手にお金が入ってくるなどと言う甘い話を信じてやまなかったのです。
結果、半年後には夫が結婚前に貯めた全財産と友人を失うことになったのです。
その後も某化粧品メーカーが日本に上陸した際には、今度はそちらに手を出し私に売れと言ってきたので全力で拒否しました。
結局、夫の親類から紹介された会社でマッサージ機の販売をするアルバイトを始めることになりました。
夫は「父親になったのだから今よりももっと働かなくては」と言ってましたが、別に生活に困っているわけではありませんでした。
これは育児に参加することを避けるための口実であることは見え見えでした。